アメリカデイゴ 鶴見橋西詰交差点の南西のブロックにアメリカデイゴ(Erythrina crista-galli L.)の大木がある。これは、1953年にアルゼンチンのペロン大統領夫人から贈られた種子に由来するとされているが、現地には何の説明看板も無い。新世紀リニューアル事業の基本方針の一つである「後世に広島の復興を物語る貴重な資産」として、いきさつを記して欲しいところ。
この樹は、葉が狭卵形で先がとがり、普通に見かけるアメリカデイゴとはかなり違って見える。これは、アメリカデイゴの本来の形であって、南米産の種子から発芽させたものである証拠。他の多くの場所、例えば宇品のみなと公園に植栽されているものは花序が長く、葉が広卵形を示す。これは、変異型を優良品種として無性繁殖したもので、マルバデイゴ Erythrina crista-galli L. \’Maruba-deigo\’ の名で呼ばれている(塚本・村田.1988. 園芸植物大事典 1:365)。
本種はカイコウズと呼ばれることが多い。漢名の音読みに基づく。ところが、中国名の海红豆(hai hong dou)は本種とは別の種で、同じマメ科の落葉高木 Adenanthera microsperma Teijsm. & Binn. (ナンバンアカアズキ)である。
本種が日本に渡来したのは江戸時代後期、中国への渡来もその頃であろう。 当時の日本では、漢字で表わした植物名(漢名)が学名のようなものだったから、漢名は必ず存在しなければならない。 例によって、「それらしい漢名」を探し、「海紅豆」という植物に無理やり当てはめた。そして、その漢名を音読して和名ができた。 一方、中国はこの外来種に「鸡冠刺桐(雞冠刺桐), jī guan ci tong」という新しい名を付けたので、両国の漢字表現に異物同名が生じた。
だから、カイコウズを漢字で海紅豆と書いてはいけない。紛らわしいので、同属のデイコ(沖縄の植物、デイゴと聞こえる)を基にしたアメリカデイゴ、マルバデイゴとすべきである。
| 「海紅豆」とは何か | ||
| 学名 | Erythrina crista-galli | Adenanthera microsperma |
| 和名 | カイコウズ、アメリカデイゴ | ナンバンアカアズキ |
| 漢字名 | *海紅豆 | 南蛮赤小豆 |
| 中国名 | 雞冠刺桐 | *海紅豆 |
| *不適切な名・表現 |
アメリカサイカチ
アメリカデイゴと同じブロックの西端に1本ある。日本のサイカチと同様に、枝分かれした大きな刺が幹・太枝から出ている。これも、ペロン大統領夫人から贈られた種子に由来するとされている。ただし、本種の原産地はアルゼンチンではなく、アメリカ。
本種は取り立てて花や実が美しいわけでもなく、日本にも近縁の種があるから、何故贈られてきたのか疑問だった。よく調べてみると、アメリカ等で公園樹として普及している理由は、この樹が大気汚染、土壌の乾燥や高いpHに耐えるかららしい。つまり、平和大通りのように平地の都市公園では土壌が緊密化してアルカリ化する傾向にあるので、間違いなく育つ樹種を選んだということのようだ。単なる推測なので、寄贈時の文書等があれば公開し、現地に看板を立てて欲しい。
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エビータは昭和27年7月26に亡くなっていました、から、昭和28年に贈られたと伝わっているのは、奇異に思っておりました。
亡くなる前年の4月に2件、アルゼンチン公園について、邦字紙『亜国日報』の編集者宮地勝夫から中国新聞社に広島にアルゼンチン公園を、と言う話が舞い込んだこと。同年9月21日には来月には門司港に船便で到着すること、また、エビータの来日で具体化するとの、記事も有りましたから。
28年は、広島市青年緑化協会の調査報告書の聞き取り時の誤記か、26年の誤植だろうと思います。